3rdDay side Boy


「ふぁ……」
もう朝か?
そう思って時計に目をやる。
時計の針は二本とも上を向いている。
なんだ、まだ十二時か。
それにしては、明るいような……?
窓の外に目をやる。

明るいわけだ。
やっと、今が午後の十二時だとわかった。

別に、何をするわけでもないのだけど、とりあえず昼飯を食べて外へ出る。
十四日、バレンタイン、か。
別に、何かを期待しているわけじゃない。
わけじゃ……、ないはずなんだけど……。
妙な妄想に襲われてしまう……。

そりゃあさ。
ここで偶然にも憧れのあの子と出会ってさ。
「あの、これ受け取ってください。」とか言われてさ。
そんな夢みたいなこと、起きたらいいなとは思ってるさ。
でも、ありえねーよなぁ。
はぁ〜、と、ひときわ大きなため息をつく。

「あ、あの、本田君……。」
あぁ、ついに幻聴が……。
「え、えーと、本田君?」
あーもう、消えてくれ。幻覚の分際で俺にまとわりつくな。
「消えろよ!これ以上俺を悩ませるな!」
叫んで、幻を振り払うように振り返る。




そこに居たのは、幻ではなく
「ご、ごめんね……。私、迷惑……、だったんだ……。」
本物の木村さんがいた。
目に一杯の涙をためて。
「え、あ……、ごめ」
「ごめん……、なさい……。」

俺は、走り去る彼女に、どうしても声をかけられなかった。


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