「ただいまー。」
「ん、おかえり美崎。」
家に帰ると、お姉ちゃんが迎えてくれた。
お姉ちゃんの名前は雪。今は高校二年生だ。
お姉ちゃんは何も言わないけれど、ものすごく頭がいい。
「ねー、お姉ちゃん。」
「何?」
「もうすぐバレンタインだよね。誰かにあげるの?」
お姉ちゃんはあごに手をあて、んー、とうなったあと
「まぁ、義理はね。それより、勉強は大丈夫なの?
この前の模試、ギリギリだったじゃない。」
「う……。」
お姉ちゃんまで……。
その話題にしたくなかったから先手を取ったのに。通用しなかった。
「浮かれるのはいいけど、ちゃんと合格できるの?」
「う、うん……。なんとか……。」
「ギリギリじゃダメなのよ?まったく。」
うー、厳しい。
「ふぅ、ま、いっか。で、あんたはなんで急にそんなこと訊くの?」
「え、う……、別に」
しまった、と思った。
お姉ちゃんにこういう答え方は良くない。
「ふふふ……。誤魔化すのヘタね。ひょっとして、本命かしら。」
「うぅ……。」
お姉ちゃんは、人一倍鋭い。あんなヘタな答え方では、正解を言っているのと何も変わらない。
「あんたもオトシゴロってわけ、か。いいわ、しばらくは浮かれてなさい。
そのかわり……地獄を覚悟することね。」
「う……、うん、わかった。」
なんだか、アキちゃんと同じことを言われたような気がする。