「やっほー、チカちゃん。おはよー。」
「おはよ、チカちゃん。」
「や。ミー、アキちゃん。」
今日も、いつも通り校門の前で三人がそろう。
ふとチカちゃんが鞄以外の袋を持っていることに気づく。
「あれ、チカちゃんも?」
「まーな。だって、土曜休みじゃん。」
「同じこと言ってるよ……。」
今日は、チカちゃんもアキちゃんもチョコの入った袋を持っていた。
そのことをアキちゃんに尋ねたときも、同じような回答だった。
「さぁー、待ってろよ、モテない後輩たち!」
なんだか楽しそうなチカちゃんにつられて、三人で笑いあう。
「えーと、部活にいくから、今日は一緒に帰れないね。」
「だな。」
チカちゃんが持ってきたクッキーをかじりながら、いつものように話す。
「私も行くから……。ごめんね。」
「え?いいよ。気にしないで。」
あわてて首を振る。
「そういえばチカちゃん、これ手作り?」
「ん〜、ほとんど母さん。」
ハハ、と笑いながら頭をかく。
その様子を見ながら、
「私も、みんなに何か持ってくればよかったかな。部活のだけしかないや。」
とアキちゃん。
「んなに入んないって。」
「月曜日に持ってこようか。」
「やったー。アキちゃんのお菓子!」
アキちゃんは家庭部に入っていた。そのせいか、料理はやけに上手い。
勉強も料理も上手いなんて、うらやましい限りだ。
「そういえば、ミーは?」
ここぞとばかりに、目を光らせるチカちゃん。
なんだか、ヤな予感がした。
「え……」
「ま・さ・か、食うだけなんて、言わないよね〜?」
チカちゃんチカちゃん、目が本当に怖いです。
「わ、わかったよ〜。」
「手作りじゃねーと許さねーからな?」
「わ、わかってるよ」
こうなったら、こっちもお姉ちゃんに聞くしかない。
ひょんなことで、新しい課題ができてしまった。
「ふぅー。終わった終わった。帰ろーっと。」
「んじゃ、アタシはバスケの方に顔出してくるから。」
「私も、部活いくね。」
「うん、わかった。じゃーねー。」
「おう。」
「ばいばい。」
そういえば、一人で帰るのもずいぶん久しぶりな気がする。
「……よし。」
今日は、さっさと帰って、明日の分に力を入れよう。
せっかくだから、ケーキにしようか。
それともやっぱり、チョコで行くか。
あるいは、クッキーにするか。
……。よし、あれでいこう。時間もあるし。
「お姉ちゃーん!ケーキとクッキーの作り方教えてー!」
「え?ケーキとクッキー?あんた欲張りねぇ……」
言うなり、呆れられてしまった。
「うん、チカちゃんとアキちゃんにもあげることになっちゃってさ。」
「はぁ……。ちょっと待ってな。」
お姉ちゃんはため息をつくなり自室へ戻る。
そして、少しすると戻ってくる。手に小さな紙切れを持って。
「ほら。これ買っといで。お金は?」
「えっと・・・・・・。」
財布の中を確認する。
「うん、大丈夫だと思う。」
「オッケー。ほら、行っといで。準備しとくから。」
「ありがとう。行ってくる!」
そう言って家を飛び出す。
よーし、お姉ちゃんが教えてくれるんなら、百人力だ。
ふふふ……。待ってろよー。
最高のバレンタインをプレゼントしてやるんだから!