10日目


「おはようございます。」
「あ、おはよう。」
いつもどおりの挨拶を交わす。
相変わらず彼女の笑顔をみるのはつらいけれど、昨日ほどではなくなった。
「今日は、引き分けですね。」
「さすがに、永遠の敗北者だなんて呼ばれたくはないからね。」
肩をすくめてみせる。
「ところで、今何勝何敗だっけ。」
「さぁ?ちょっと、覚えてませんね。」
彼女も、肩をすくめる。
と、ふと、彼女の腕に目が行く。
「あ、その袋」
彼女が腕に抱えていたのは、中華まんの袋だった。
「ええ、今日は、私が買ってみました。」
軽く持ち上げて見せながら、くすっと笑う。

「ありがと。」
彼女の手から、あんまんを受け取る。
彼女が続いて取り出したものをみて、フと思う。
「無理にあわせなくていいんだよ?他のも食べられるし。」
彼女が取り出したものも、あんまんだった。
「ううん、私も、これを食べたかったから。」
その後もなにやらごにょごにょと口を動かして、慌てて下を向く。
「何やってんの。」
不思議そうに彼女のほうを見る。
「あ、いえ、何でもありません。」
よくはわからないが、動揺しているらしかった。
「ふぅん?」
なんとなしに、あんまんをかじる。
「熱っ!」
油断していた。
横を見ると、彼女が笑いをこらえていた。
動揺は、もう消えたらしい。
「ひどいなぁ……。」
「私、何もしてませんよ。」
にらみ合い。
そして、やっぱり笑い出す。




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