「おはようございます。」
「あ、おはよう。」
いつもどおりの挨拶を交わす。
相変わらず彼女の笑顔をみるのはつらいけれど、昨日ほどではなくなった。
「今日は、引き分けですね。」
「さすがに、永遠の敗北者だなんて呼ばれたくはないからね。」
肩をすくめてみせる。
「ところで、今何勝何敗だっけ。」
「さぁ?ちょっと、覚えてませんね。」
彼女も、肩をすくめる。
と、ふと、彼女の腕に目が行く。
「あ、その袋」
彼女が腕に抱えていたのは、中華まんの袋だった。
「ええ、今日は、私が買ってみました。」
軽く持ち上げて見せながら、くすっと笑う。
「ありがと。」
彼女の手から、あんまんを受け取る。
彼女が続いて取り出したものをみて、フと思う。
「無理にあわせなくていいんだよ?他のも食べられるし。」
彼女が取り出したものも、あんまんだった。
「ううん、私も、これを食べたかったから。」
その後もなにやらごにょごにょと口を動かして、慌てて下を向く。
「何やってんの。」
不思議そうに彼女のほうを見る。
「あ、いえ、何でもありません。」
よくはわからないが、動揺しているらしかった。
「ふぅん?」
なんとなしに、あんまんをかじる。
「熱っ!」
油断していた。
横を見ると、彼女が笑いをこらえていた。
動揺は、もう消えたらしい。
「ひどいなぁ……。」
「私、何もしてませんよ。」
にらみ合い。
そして、やっぱり笑い出す。