「明けまして、おめでとうございます。」
「うん、おめでとう。」
今日は珍しく、二人が公園の入り口で出会った。
「今日は引き分けだね。」
「そうみたいですね。」
近くの神社までは、歩いて三十五分。
そう遠くも無いので、歩くことにした。
初詣、か。
よくよく思い出してみれば、これが初めてだった。
今日が、まさに文字通り「初詣」になるわけか。
「そういえば、澄沢さんは、今までに初詣に行ったことってある?」
「はい、ずいぶん前までは、毎年行ってました。最近は……、行ってませんね。」
「ふぅん、どうして?」
「え、その……、」
と、彼女は少し言葉に詰まった後、
「面倒くさく、なっちゃって。」
あはは、と照れ笑いする。
それからしばらく歩いて、神社まであと十分くらいという距離まで来たとき。
「そういえばさ、」
そこまで言って振り向いたとき、僕は固まりそうになった。
しかし、ここで固まっているわけにはいかない。僕は咄嗟に動いた。
「危ない!」
彼女が、急に倒れかけたのだ。
抱きとめてみると、彼女は気を失っていた。
とりあえず、近くで休めそうな場所を探す。
このあたりは、都会のくせに公園がやたら多いから助かる。
それから三十分。
「うーん……、ここ、は……?」
彼女が目を覚ます。
「よかった、気がついた……。ここは、神社の近くの公園だよ。」
「あぁ、私、また気を……。」
彼女は肩を落として項垂れてしまった。
「ねぇ、澄沢さんって、体悪いの?」
不躾とは思ったが、さすがに心配になったので、訊いてみた。
「あ、いえ、貧血、なんですよ……。」
「貧血、かぁ。」
どうやら、そこまで大変なものでもないようだ。
そのことにほっとしたけれど、とにかく、彼女のために一時間くらいここで休むことにした。
「あの、ごめんなさい……。」
唐突に、謝られる。
「せっかく、付き合ってもらってるのに、気を失っちゃって……。」
顔をあげない。どうやら、さっきのことを相当気にしているようだ。
「ん?気にしなくていいよ。」
「え、でも……。」
「僕がいいって言ってるんだから。それに、体弱いんでしょ?だったら、仕方ないって。
ほら、もう気にしないで。病は気から、それ以上体に負担をかけるつもり?」
「あ、はい、ごめんなさい。」
「なんであやまるのさ。」
苦笑をしながら、また歩き出す。
そして、ようやく神社につく。
もういい時間なのに、人はまばらだ。
こっちとしてはそのほうが楽でいいんだけど。
二人並んで賽銭箱の前に立ち、セオリー通り五円玉を投げ込む。
二人そろって手を合わせて、長い沈黙。
帰り道。
「何をお願いしたんですか?」
澄沢さんが聞いてくる。
「んー、これからもずっと、澄沢さんと一緒に居られますように、って。」
「やですねぇ、冗談ばっかり。」
笑顔で、わりと思いっきりはたかれる。
「いてっ!……じゃあ、澄沢さんは?」
「私は……。」
少しだけ間をあけて
「今年一年の無病息災、です」