昨日、僕はとんでもないことを聞いてしまった。
彼女の命が、あと数日で消えてしまう、と。
僕は、後悔しているのだろうか。
あんなことを聞いてしまったことを。
あれから、何度もそう自分に問いかけた。
でも、そのたびに、出てくる答えは同じだった。
ただ、一言。
「わからない。」と。
それでも、やがて一つの答えを出さなければならない。
「僕は、最後の一秒まで、彼女と今までどおり接する。」
出てきた答えは、これだった。
これだけのことが、どれだけ難しいことなのか。
このときの僕は、知らなかった。
「ふふ、また、私の勝ちみたいですね。」
彼女のいつもと変わらない笑顔を見たとき、胸が少し痛んだ。
「澄沢さん、早すぎない?」
それでも、普通に話しかける。
いつものように、苦笑をする。
「そんなことありませんよ。私も、さっきついたばかりですし。」
「うーん、どうしてこう、ギリギリで勝てないかなぁ。」
「そうなる運命の元に生まれたんですよ、きっと。」
運命。とても嫌な響きに聞こえた。
「運命にまで嫌われたの?僕は。」
その言葉を、自分で責める。
本当に嫌われているのは、彼女だろうに。
「永遠の敗北者ですね。」
「ちょ、やめてよそういう呼び方は……。」
二人して笑う。
彼女は、屈託のない満面の笑顔で。
僕は、苦笑いで。