9日目


昨日、僕はとんでもないことを聞いてしまった。
彼女の命が、あと数日で消えてしまう、と。
僕は、後悔しているのだろうか。
あんなことを聞いてしまったことを。

あれから、何度もそう自分に問いかけた。
でも、そのたびに、出てくる答えは同じだった。
ただ、一言。
「わからない。」と。

それでも、やがて一つの答えを出さなければならない。
「僕は、最後の一秒まで、彼女と今までどおり接する。」
出てきた答えは、これだった。
これだけのことが、どれだけ難しいことなのか。
このときの僕は、知らなかった。

「ふふ、また、私の勝ちみたいですね。」
彼女のいつもと変わらない笑顔を見たとき、胸が少し痛んだ。
「澄沢さん、早すぎない?」
それでも、普通に話しかける。
いつものように、苦笑をする。
「そんなことありませんよ。私も、さっきついたばかりですし。」
「うーん、どうしてこう、ギリギリで勝てないかなぁ。」
「そうなる運命の元に生まれたんですよ、きっと。」
運命。とても嫌な響きに聞こえた。
「運命にまで嫌われたの?僕は。」
その言葉を、自分で責める。
本当に嫌われているのは、彼女だろうに。
「永遠の敗北者ですね。」
「ちょ、やめてよそういう呼び方は……。」
二人して笑う。
彼女は、屈託のない満面の笑顔で。
僕は、苦笑いで。





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